NHKの受信料制度について最高裁は6日、憲法に違反しない、合憲との初めての判断を示した。その上で、受信料についてはテレビを設置して以降の分、全額を支払わなければならないとの判決を言い渡した。
この裁判はNHKが、受信料を支払わない男性を訴えていたもので、テレビを設置した人に、NHKとの契約を義務付ける放送法の規定が、憲法違反かどうかなどが争われていた。
6日の判決で、最高裁は、「受信料制度は国民の知る権利を実質的に充足する目的にかなう合理的なもの」だとして、合憲との初めての判断を示した。また、受信契約の成立にはNHKが個別に裁判を起こし、勝訴判決が確定することが必要だとした。
その上で、受信料を支払っていない人は、判決が確定して以降の分ではなく、テレビを設置した時点にさかのぼって、受信料を全額支払わなければならないとする判決を言い渡した。
「表現の自由の下で国民の知る権利を充足させるために採用された仕組みで、憲法上許容される立法裁量の範囲内」
放送法がNHKを「民主的・多元的な基盤に基づいて自律的に運営される事業体で、公共の福祉のための放送を行わせる」と位置づけていると解釈し、受信料制度は「公共的性格を財源面から特徴づける」とした。
NHKは受信料の意義を「特定の利益や視聴率に左右されず、公平公正・不偏不党の役割を果たせる」と説明しており、これを最高裁も追認した形だ。
契約拒否者に「申込書が到達した時点で契約が成立する」との主張は退けた。このため、未契約者に支払い督促などの法的手続きを直接取ることはできず、契約を拒み続ける人には今まで通り裁判を起こして契約承諾を求める流れとなる。
とはいえ、最高裁が受信契約を法的義務と認めたことで、契約拒否者が裁判で勝つ見込みはほぼなくなった。さらに消滅時効(5年)は判決確定まで進行しないことになり、テレビ設置から長期間契約を放置すると、多額の支払いリスクを背負う。